種類 | ADRの種類にはあっせん、調停、仲裁がある。 あっせんは、当事者同士での交渉で解決を図る事を目的とし、あっせん人が間に入って当事者同士の話し合いを進めて解決を図るものである。あくまで当事者同士の話し合いによった解決を目指す制度で、あっせん人が解決案を提示する事もあるが拒否することができる。 調停は、調停人が示した解決案を拒否することができるが、仲裁判断は裁判の判決と同じ効力があり、当事者は拒否することができない。また控訴や上告等の不服申し立ての制度はなく、仲裁がなされたケースについて裁判を起こす事はできない。 仲裁とは事前に当事者同士が仲裁を受けることに同意する(仲裁合意)した場合に仲裁人が仲裁を行うものである。 なお、機関によってADRの呼称は異なり、呼称が「あっせん」であっても内容は「調停」であることもあるので利用する際には確認が必要である。弁護士や司法書士、弁理士、社会保険労務士、土地家屋調査士はADRの代理権が認められている。 |
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2.ADRの一般的な流れ | ADRを利用したい人がADR指定機関に申し立てを行い、申し立てを受け付けるとADR機関が相手方に連絡する。ADRによる解決が望めない等、場合によっては却下される事もある。相手方がADRに合意すれば手続きが始まるが、拒否すれば手続きは成立しない。ADR手続きが始まると、あっせん人・調停人・仲裁人が決定される(複数の候補者から当事者が決める場合もある)。そしてあっせん・調停・仲裁が行われる。あっせん・調停の場合は当事者が合意すれば成立となり、手続きが終了する。当事者が拒否した場合は不成立となる。仲裁の場合、仲裁人が仲裁判断を行うが、事前に仲裁合意を行っているので、当事者はこの判断を拒否できない。 |
3.民事訴訟との違い | 裁判外紛争解決手続(ADR)は、当事者間での交渉が不調に終わった場合の紛争解決手段である。同様の解決手段として裁判所を介して行う民事訴訟がある。 民事訴訟と比較した場合のADRの長所としては、利用者にとっては費用が少なくすむ、非公開のためプライバシーや社内技術などが外部に漏れるリスクを回避することができ、訴訟と比べて時間がかからない、手続きが裁判の様に難しくない(電話で申し込める機関もある)、当事者の都合に合わせて日時を決める事が出来るなど当事者の意向に応じて柔軟に対応することが可能という点が挙げられる。また実施機関が裁判所に限定されず他の機関で紛争解決を行うことにより、裁判所にとっても持ち込まれる紛争が減り、紛争処理に関する負担の軽減につながる。一方、短所としては、仲裁での解決を選択すると訴訟を起こす権利が失われる、話し合いベースのADRの場合、必ずしも紛争解決に至るとは限らない、ADR機関が一方の当事者と密接な関係にあるケースではもう一方の当事者にとって不利な裁定が下される恐れがあるなどの点がある。 |
4.問題点 | ADRの存在を知らない人が多いことや、判断の公平性への疑問などが挙げられる。 |
5.日本の主なADR機関 | 日本におけるADRの手続きは、「ADR機関」と呼ばれる紛争当事者と関わりのない第三者機関によって行われる。機関は司法機関、行政機関、民間機関に大別することができる。 *司法機関(簡易裁判所・家庭裁判所・地方裁判所) *行政機関(原子力損害賠償紛争解決センター・公害等調整委員会・国民生活センター・消費生活センター・労働委員会・紛争調整委員会・労働相談情報センター・建設工事紛争審査会) *民間機関(日本弁護士連合会交通事故相談センター・国際商事仲裁協会・日本海運集合所・交通事故紛争処理センター・PLセンター・事業再生実務家協会・全国銀行協会・生命保険協会・日本貸金業協会・日本不動産鑑定士協会連合会) |
6.日本におけるADRの推進 | 訴訟手続の欠点を補い気軽に利用できる紛争解決の手段をという事で「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」(ADR法)を定めて司法制度改革の一環としてADRの推進が目指されている。推進が始まったきっかけは司法制度改革審議会の「司法制度改革審議会意見」でADRが裁判と並ぶ魅力的な選択肢となるよう拡充、活性化が必要であるとし、「関係機関等の連携強化の促進」と「総合的なADRの制度基盤及び仲裁法制の整備」を提唱した事である。司法制度改革推進本部が設置され同本部では「司法制度改革推進計画」を決定し、関連機関の連携強化のため連絡会議を設置する事や手続や機関などの情報提供を一元的に行えるようにする事や紛争の内容に即した法律以外の専門家もADRに活用する計画を立てた。同計画に沿って「ADRの拡充・活性化関係省庁等連絡会議」が設けられ、関係省庁が重点的に取り組むべき事項をまとめた「ADRの拡充・活性化のための関係機関等の連携強化に関するアクション・プラン」が作られた。同プランには、ADRへの理解の推進、あっせん人・調停人・仲裁人の確保および育成、国民生活センターの相談窓口としての機能向上、ADR機関への交通の向上などが盛り込まれた。また、総合法律支援法には国や地方公共団体や弁護士会や司法書士、弁理士、社会保険労務士、税理士、行政書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士等の法律家の団体とADR機関などが互いに連携して更に連携強化をしなければならないと定められている。 |
ADR を利用するメリットは? | ■簡単な申立て手続 ADR機関によって申立ての手続は異なりますが、簡単な申立て書に記入したり、電話などで受け付ける機関もあります。 ■柔軟性 ADRでは、手続などについて当事者の意向に応じて柔軟に進めることができます。時間なども当事者が合意すれば自由に決めることができ、当事者の意向に応じた柔軟な解決を求めることができます。 ■迅速性 ADRは、当事者の合意に従って柔軟かつスピーディーに行うことができます。その分、紛争解決に要する期間が短く、費用も低廉に抑えることができます。 ■専門性 ADRでは、紛争について専門的な知識を持った第三者に関わってもらいながら解決を求めることができます。 ■非公開性 紛争においては、関係者以外には知られたくない情報が扱われることがあります。ADRでは、解決までの過程は非公開で行われ、結論も原則として公開されません。 |
ADR法とは? | 「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」(ADR法) は、裁判外紛争解決手続についての基本理念、国・地方公共団体の負う責務、民間事業者の行う和解の仲介(いわゆるあっせん・調停のことです)などについて定めた法律です。 この法律は、裁判外紛争解決手続の機能を充実させることによって、紛争の当事者がその解決をはかるのにふさわしい手続を選択することを容易にし、国民の権利利益の適切な実現に資することを目的としています。 民間事業者の行う和解の仲介の業務に関しては、その適正さを確保するため、一定の要件に適合していることを法務大臣が認証する制度を設けました。 認証を受けた民間事業者の和解の仲介業務には、時効の中断・訴訟手続の中止といった法的効果が与えられることになっています。 なお、仲裁業務はADR法による認証の対象ではありません。 これは、仲裁については仲裁法により時効の中断などの法的効果が与えられているため、認証を与える必要はないと考えられるからです。 ADR法については、裁判外紛争解決手続(ADR)について(かいけつサポート)のページで概要が紹介されています。 |
時効の中断効 | かいけつサポートを利用した場合の法的効果 「かいけつサポート」を利用しても、話し合いがうまくまとまらず、解決に至らないこともあります。その後、裁判に訴えてはみたものの、話し合いをしているうちに時効が成立して権利が消滅してしまったということも、考えられなくはありません。しかし、「かいけつサポート」を利用していれば、一定の場合に、時効期間が進行していなかったこと(法律的には「時効の中断」と呼ばれています)にすることが認められるよう法律で定められています。 |
話し合いによるトラブル解決
裁判によることもなく、身の回りで起こる様々な
法的トラブルを解決する方法がADRです。
裁判外紛争解決手続(さいばんがいふんそうかいけつてつづき、Alternative Dispute Resolution; ADR)は、訴訟手続によらない紛争解決方法を広く指すもの。紛争解決の手続きとしては、「当事者間による交渉」と、「裁判所による法律に基づいた裁断」との中間に位置する。ADRは相手が合意しなければ行うことはできないが、紛争解決方法としては、あくまで双方の合意による解決を目指すものと、仲裁のように、第三者によって法的判断が示されるものとに大別される。
◇調停手続とは◆
調停手続とは、中立で公正な調停人が当事者の間に入り、双方の言い分を十分に聴いた上で、お互いに納得できる解決策を一緒に考え、問題の解決に必要となる合意を形成する手続です。
裁判のように法律を適用して紛争の解決を図るのではなく、当事者の対話を促進し、実情に応じた解決を図ることに力点が置かれます。
行政書士ADRセンター香川における調停では、当事者同士がご自身の言葉で話合いを行い、両者が本音から満足できる解決策を導くプロセスを重要視しています。
そのためトラブルの解決に向けて、ADRに関する所定の研修・トレーニングを積んだ専門分野ごとの調停人が、公正中立な進行役(ファシリテーター)となって話し合いのサポートにあたります。
◇裁判との違い◆
裁判や仲裁は、第三者の判断によって紛争を解決するものです。
これに対して調停は、当事者の直接の話し合いと、当事者自身が納得の行く合意により、紛争解決を図るのが特徴です。
つまり、当事者が主体となって紛争を解決できるのが、調停の最大の特徴と言えます。
裁判と行政書士ADRセンター香川の調停手続との違いについて、主な点を以下の表にまとめました。
裁判 | 調停 | |
実施する人は? | 裁判官 | 各トラブルの専門分野ごとにトレーニングを積んだ調停人(行政書士) |
話をするのは? | 一般的には弁護士 | 原則、当事者自身 |
解決内容を決めるのは? | 裁判官 | 自分自身 |
費用は? | 比較的高額 (訴訟費用、弁護士費用など内容による) |
比較的安価 |
期間は? | 比較的長期化する | 比較的スピーディー |
公開・非公開 | 公開 | 非公開 |
強制執行力 | ある | ない |
◇民間ADRの業務の認証制度の概要◆
〇 紛争の当事者がその解決を図るのにふさわしい手続を選択することを容易にし、持って国民の権利の適切な実現に資することを目的
〇 法定の基準・要件に適合するものを法務大臣が認証
〇 認証を受けた民間ADRの利用に関し、所定の要件の下に、時効の中断、訴訟手続の中止効等の法的効果が付与
〇 利用者に紛争解決手続についての選択の目安を提供するため、認証ADRの業務に関する情報を法務省ホームページ等において公表
〇 平成19年4月1日施行